A:測定値のばらつきを数値化したものです。
物事を測定・分析するには誤差がつきものです。化学分析も同様です。
誤差には大きく2種類があります。“かたより”と“ばらつき”です。
日本産業規格(JIS Z8101,8102)にて「測定値から真の値を引いた値」が“誤差”と定義されています。その他に「測定値の母集団から真の値を引いた値」は“かたより”で「かたよりの小さい程度」は“真度”、「測定値の大きさがそろっていないこと」は“ばらつき”で「ばらつきの小さい程度」は“精度”、「測定量の真の値との一致の度合い」は“精確さ”などと定義されています。
(なおJISや産業分野の違いにより、用語と定義がやや異なる場合があります。)
化学分析においては物質量が未知のものを測定することが多く、たいていは“真の値”自体が分からないため、誤差やかたよりなどは求めることができません。
そこで測定値の信頼性を“ばらつき”によって表そうというのが“不確かさ”です。JISで不確かさは「合理的に測定量に結びつけられ得る値のばらつきを特徴づけるパラメータ。」と定義されています。
不確かさは標準偏差をベースとしており、1,000mg±0.15mgの様に数値の範囲として測定結果に付記されます。不確かさが小さいほど、ばらつきが小さく信頼性が高い結果と言えます。
不確かさの算出にあたっては、分析作業や分析機器のばらつきだけでは無く、試薬や器具といったそれぞれの不確かさを全て合算します。試薬や器具の不確かさは国家標準器(計量法に定める特定標準器)を元としており、不確かさはトレーサビリティを裏付けるものでもあります。
さらに不確かさの算出方法は国際的に統一されているため、不確かさが付記された測定結果は海外でも通用します。