この画像はササの葉の断面です。この中にササが宝石を隠し持っているのですがみなさん見つけられますか?
この部分の元素を分析したものが下図の右側になります。この図では炭素の分布は赤、酸素の分布は青、ケイ素(シリコン)の分布を緑で表しているため、真ん中の20µmほどのひし形の部分(水色)にはケイ素と酸素が存在していて、その周り(紫色)には炭素と酸素が存在しているということになります。このひし形こそがササが隠し持っている宝石なのです。
周り(紫色)の部分はセルロース (C6H10O5)n などの有機物であるとすれば、ひし形(水色)の部分は何でしょうか?
ひし形の部分はケイ酸化合物 SiO2・nH2O というものであり、宝石のオパールと同じ組成であるため、植物のオパール「プラントオパール」などとも呼ばれます。
下図は光学顕微鏡でササのプラントオパールを観察したものです。プラントオパールがまるで背骨やトウモロコシの様に連なっています。タケやササの特徴であるしなやかさは、この構造により生み出されているようです。
プラントオパールは植物固有の形状を持っており、植物が枯れた後もずっと残るため、地層中のプラントオパールを調査することで当時の植生が分かります。植生が分かれば当時の気候も分かることから考古学などで活用されています。
特にイネ科の植物はプラントオパールが卓越していて観察しやすいため、麦や稲などの農耕の歴史を調査するのにも使われています。ちなみにタケやササも実はイネ科です。みなさんごぞんじでしたか?