布団や防寒着などに使われる鳥の羽のダウンとフェザー。
電子顕微鏡で観察してみました。
ダウン(ダウンフェザー)は学術的には綿羽と分類され、軸部分(羽軸)がほとんどないのが特徴です。これに対しフェザーは学術的には正羽や半綿羽と分類され羽軸があります。
鳥の羽を樹木に例えると幹にあたる羽軸から、枝にあたる羽枝と呼ばれる部分が伸びています。さらに羽枝から小羽枝が伸びています。
ダウンの小羽枝は羽枝から分岐してすぐに四方八方に広がっていますが、フェザーの小羽枝は羽枝から揃って分岐しています。ダウンは小羽枝が広がっていることで、内部の空間が広くなり暖かい空気を逃がさないため、保温効果を得ることができます。フェザーは小羽枝が規則的にそろっていることで構造的な強さを得ることができます。
小羽枝をさらに拡大すると、小さな突起が確認できます。
ダウンと比べフェザーの方が突起が発達しており、大きく反り返っています。この突起には小羽枝と小羽枝を結びつける効果があり、鳥の羽根の構造的な強さを支えています。鳥の羽根の割けてしまった部分は手で押えるだけで簡単に元通りになりますが、そのメカニズムはこれらの突起によるものです。
鳥の羽根は爬虫類のウロコが進化したものとされています。しかし鳥の羽根は軽さ、強さ、暖かさ、さらには美しさなどを兼ね備えており、とてもよくできていることから「完璧すぎて進化論で説明がつかない」とも言われています。