ホーム > ミクロ探偵団 > 火鼠の皮衣

火鼠の皮衣

こちらは石綿の一種であるクリソタイル(白石綿)の顕微鏡写真です。まさしく綿の様でとても鉱物とは思えません。

クリソx700.jpg

クリソx5000.jpg

 

こちらは別種の石綿であるクロシドライト(青石綿)の顕微鏡写真です。こちらは繊維というよりは針の様です。

クロシドx700.jpg

クロシドx5000.jpg

 

石綿は大きく2種類に分けられます。「蛇紋石系」と「角閃石系」です。クリソタイルは蛇紋石系です。角閃石系にはクロシドライトの他、アモサイト(茶石綿)やトレモライトなどがあります。

針の様な角閃石系の石綿の方が有害性が高く、その発がん性は、クリソタイル(蛇紋石系)と比較して、アモサイトで100倍、クロシドライトに至っては500倍ともいわれています。

石綿は天然鉱物であり、人類誕生以前から地球上に存在していました。今でこそ有害性が問題となっていますが、「燃えない」、「酸・アルカリに強い」、「引っ張りに強い」、「電気を通さない」といった多くの優れた特徴から、ずっと人類に利用されてきました。

かぐや姫のお話に出てくる火に入れても燃えない「火鼠の皮衣」。その正体は石綿(せきめん・いしわた)であったとか。

英名のアスベスト(Asbestsos)の語源もギリシア語で「永久不滅」という意味があり、古代エジプトではミイラを包み、来世での復活に備えていたとか。

クリソタイル写真.jpg

<クリソタイルの原石>

ページの先頭へ