植物の葉の秘密・第5弾はサンショウです。
サンショウ(山椒)は独特の芳香を持つ落葉低木植物です。葉(木の芽、このめ)、花(花山椒)、実(青山椒、粉山椒)、そして樹皮(辛皮)と木全体がハーブやスパイスとして重用されており、英語圏では「Japanese pepper」とも言われています。
以前、ハーブとしてアップルミント(シソ科)をご紹介しました。アップルミントの葉には腺毛(トライコーム)というにおい成分が詰まった組織がありましたが、さてサンショウはどうなっているでしょうか、葉の表面を観察してみました。
この直径20~30µmの粒が集まっている組織は油点や油胞と呼ばれており、サンショウの葉を光に透かすことで肉眼でも見ることができます。油胞はアップルミントの腺毛と同様に香り成分が詰まっています。サンショウの香り成分はシトロネラ―ルやリモネン等です。
料理にサンショウの葉(木の芽)を添える前に、手のひらで「パチン」と叩くのは、この油胞を潰してにおい成分を出すためです。
油胞という組織は、以前紹介したミカンの皮にもありました。油胞はミカン科の植物によくみられる組織です。
そうですサンショウもミカン科に属する植物なのです。そのためサンショウの実のにおい成分も、実全体ではなくミカンの皮に相当する果皮に豊富に含まれているのです。