これは納豆のねばねばを電子顕微鏡で見たものです。つまりこの粒々の正体は"納豆菌"です。
納豆菌(学名:Bacillus subtilis var. natto)は身の回りに常在しており、特にイネ科植物の葉に多く生息していると言われています。納豆菌は枯草菌という細菌の一種ですが、枯草菌の仲間には"芽胞"というシェルターの様なものを作る性質があります。
芽胞は「100℃での煮沸に耐える」「栄養源なしで長期間(100万年とも)生きられる」「放射線・紫外線に強い」といった驚異的な性能を持っています。昔ながらの納豆の製法である「煮た大豆を煮沸した稲わらで包む」というのは納豆菌が芽胞を作る性質を利用したものです。
上の画像は1µm程度の短い菌体と、3µm程度の長い菌体が写っています。
納豆菌は長さ2~3µm、幅0.7~0.8µm程度の細長い形状で、桿菌というグループに分類されます。一方の納豆菌の芽胞は納豆菌より小さく長さ1µm程度です(先にシェルターに例えて紹介しましたが、実際には菌体内で作るカプセルの様なものです)。
従って、上の画像では短い菌体が納豆菌の芽胞(休眠型・耐久型)、長い菌体が納豆菌の本来の姿(栄養型・増殖型)と考えられます。